練気功による超能力開発

練気功では、超能力開発も目的の一つに含まれていました。

高藤さん自身、超能力開発をテーマとして気功の「奥義」とする本を書いていましたし、他の気功や仙道の入門本でも前半はたいてい「気のパワーによる超能力、霊能力」の話だったりするわけです。

気功による病気治療や一種の透視能力、念力で神の像を揺らしてみたり、さらに心霊や神仏との交流……空の雲を消すなどという実用(?)的な超能力も紹介されていましたね。オカルトブーム全盛の1980年代という時代背景もあったのでしょうが、こうした神秘世界や超能力を前面に押し出した内容も高藤仙道が人気を集めた要因だったのでしょう。

では、実際に練気功で、いやいわゆる気功というもので「超能力開発」は可能なのか。私は、少なくとも(高藤聡一郎さんの著書に限らず)一般の書籍で紹介されている気功ではいわゆる超能力の開発は「ほとんど」不可能ではないか、と思っています。

ほとんど、というのは気功を続けるうちに「多少の」超能力、というか「普通ではあまり体験しない現象」なら、体験する機会も多いと思うからです。

たとえば、掌で気の感覚を感じ取って磨く訓練。これも最初に「実感」できると、かなり驚くでしょう。そして、この訓練を続けるうちに邪気を吸い取ったり失われている木を補うような形で一種のヒーリングを行うこともできるようになります。
この生物の気を感じ取る能力、ヒーリング能力は普通の人はあまり体験しない(ただし、無意識のうちにはやっている)という意味では、かなりの人にとって「超能力」のように見えるはずです。

また、気の感覚が鋭くなると「嫌な感じのする場所」「強い気の流れが躍動するところ」にも敏感になり、いわゆる霊感、地縛霊や精霊的なものも感じやすくなるかもしれません。少なくとも、先天的あるいは自然に霊感を持っている人なら、気功でその「超感覚」が磨かれるのを実感することでしょう。

ただ、こうした「気功の超能力」は、多分に主観的、また日常の延長にあるものです。ガラスの向こうの物体を動かしたり、地震を起こすといった高藤さんの著書で派手に取り上げられているような「超常現象」を「自ら起こせる」ようになるか、というと私は少なくとも練気功や小周天を続けるくらいでは無理ではないか、と思わざるを得ませんね。