丹田に陽火を起こす

小周天の目的は、仙道の第一段階である「錬精化気」を実現することです。錬精化気とは、体内の精(日常的な意味での体力、生命力)を練って神秘的な「気」に変えていくことで、日常世界から離れて「仙界」へ歩みだす仙道の第一歩とも言えます。

実際、小周天を続けると体内の日常的な「熱」「圧力」が高まりさらに非日常的な感覚へと変質していく過程を体験することになるでしょう。

丹田に陽気を集める

小周天では、まず「気」の源泉となる精(陽気)を高めていくため下腹部(丹田)に陽気を集めます。具体的には、武息という強い腹式呼吸を行いながら丹田に体の陽気を集中させ、意識をかけながら強めていきます。

  1. 静かで落ち着ける場所に座り、軽く目を閉じる
  2. 全身の緊張を解いて、しばらく黙想
  3. 軽く息を吐き出し、下腹部を意識しながら「腹の中」に導くように息を吸う
  4. 呼吸を止めて丹田に意識を集める
  5. 少し長めに息を止めてから、息を吐き出す
  6. 再び下腹部を意識しながら息を吸い込んで、息を止め、吐き出すことを繰り返す

しばらく(最初の日、始めてから数分かもしれませんし、数週間に渡り毎日続けた後かもしれません)続けていると、下腹部に強い熱と圧力を感じるようになるはずです。そのような「陽気」が生じてきたら、丹田付近に意識を集め、陽気が陽火となって燃え出し動き出すのを待ちましょう。

こうして集まった陽気は強い熱と圧力を伴って渦巻き蠢くようになります。この陽気は火にもたとえられ、陽火とも呼ばれますが、文字通り火、いやむしろ体内に燃え盛る「炎」のような感じですね。この陽火を原料にしながら小周天で錬精化気を進めていくと、体質が一変し様々な「異常」が起こるようになります。

なお、この武息は、無理に続けると腹部の違和感や内臓の不調など体に悪影響を生じる可能性があります。最初のうちは数分から十分程度にし、無理のない範囲で行うようにしてください。